著者:マルコ社
【読むべき人】
マネージャー層の方は結果を出している組織のやり方と、自分の組織のやり方の比較のために読んでみても良いと思う。また、資料を作ってプレゼンする仕事の人もGoogle流、トヨタ流の資料作成術が載っているため見てみたら有益かもしれない。
【おすすめ度】★★★★☆
かなりおすすめ。小項目が多く読みやすい。見たい項目だけを飛ばし読みすることもできる。
成果の出し方、人材育成、チームビルディング、モチベーションアップといった項目別でトヨタとGoogleのやり方を比較している内容となっている。
また、Googleやトヨタは世界でTopの地位をとり続けている企業なので、ここでの仕事上のノウハウを盗むことができる。
仕事で先輩にOJTで教えてもらうような細かいノウハウがたくさん書いてあると言ってもいい。
どのような内容が書いてあるかというと
資料作成のコツ、情報共有、モチベーションアップ、チームビルディング、成果の出し方、業務改善等等、、、
【載っているノウハウの例】
この中の例えば資料作成のコツでトヨタ流資料作成方法で資料はA3用紙1枚に簡潔にまとめる、というものがあるそう。ここまでは多くのビジネスパーソンは意識している人は多いと思う。
トヨタ流はここからさらに発展させて資料作りのフレームワークがあるそう。8項目のステップで資料に説得力を持たせる。(8項目が何か気になる方は本を買って確かめてみてください。)
この本とは別にUdemy講座にて「【超入門】ムダを無くし日々の仕事を効率的にするリーン(LEAN)入門–作成者: 西村信行さん」を履修したが本質的なものは似ており、
トヨタの考え方がベースにあり、そこからGoogle等のIT企業が発展させてきている感じだろうか。
「Kaizen(改善)」という単語は英語でそのまま通用するのだが、トヨタ生産方式からきているのだそう。
【有名ななぞなぞ分析について】
以前SNSにてこういうことを言っている人が大勢いた
「なぞなぞ分析をさせられたが4,5回なぞなぞ分析をすると、必ずその担当の人が悪いことになった。」
これは個人に責任を負われている点でトヨタ流の考えとは異なる結論になってしまっている。
トヨタで大切にされている次のような考え方がある
「人を責めるな、仕組みを責めろ」(P.32から引用)
担当の人が悪いという結論では単なる思考停止で何の改善も生まない。俗人化を推進している点でも問題。
なぞなぞ分析を指導している側も「人に原因がある」という分析結果が出た場合には訂正しなければならない。指導する側も根本的に勘違いしている可能性が高い。
本の中でもこのような記述がある。
組織の成長を阻害する典型的な悪癖といえば、「失敗のやりっぱなし」です(P.36から引用)
人に責任追及して終わるのはまさに「失敗のやりっぱなし」。
ではどうするのか。
これはChatGPTにおけるなぞなぞ分析の例
例: 機械オペレーターが間違った設定で生産を行ってしまった場合
- なぜ間違った設定で生産を行ったのか?
- オペレーターが設定値を間違えて入力してしまったため。
- なぜオペレーターは設定値を間違えたのか?
- 設定手順が複雑で、設定ミスが起こりやすかったため。
- なぜ設定手順が複雑だったのか?
- システムのインターフェースが分かりにくく、設定項目が多すぎたため。
- なぜシステムのインターフェースが分かりにくいのか?
- 設計段階でオペレーターの操作性が十分に考慮されていなかったから。
- なぜ設計段階で操作性が十分に考慮されなかったのか?
- 設計チームと現場オペレーターの間で意見交換やフィードバックのプロセスが整っていなかったため。
担当の人が原因である、と1,2の段階で結論づけてしまいそうになるが、ミスをしやすい土壌があるならそれを改善することで次のミスを防げる。
ヒヤリハットで有名なハインリッヒの法則(1件の重大な事故の背後には29件の軽微な事故が隠れており、その裏には300件のヒヤリハットがある)とも共通している。
ヒヤリハットの時点で重大な事故の芽を摘むということにもつながっていると思う。
ただし、当然のことながらサボりや怠慢でミスや失敗を犯した場合には普通に処罰されるとのこと。
アウトプット(P.147から引用)
Google流は「スプリント」と呼ばれる生産性を上げる方法が紹介されている。(スプリントについてはこちらの本にも詳しく書いてあるし、検索すればいろいろな記事が出るので割愛する。
SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法(Amazonアソシエイトのリンク)
トヨタ式のアウトプットがとても面白いと感じた。
トヨタ式「品質は工程で作り込む」(P.160から引用)
この章の中で紹介されている話に、元副社長の佐々木眞一氏が品質管理部長だったころ作業中に「水漏れ」が頻発していたそう。
この水漏れが起きる原因が膨大で800工程、2000作業範囲を設計、製造設備、作業容量を点検。普通であればあきらめるような作業ですが、最後には水漏れ対策を成功させたとのこと。
ソフトウェア開発の考え方にも通じるものがあると感じた。モジュールを開発する際に責任範囲をモジュールやクラスに持たせることで不具合が起きた場合の特定を容易にするのがオブジェクト指向的な考え方。テストも簡単になる。
また、トヨタ生産方式、7つのムダに関しても記述があり紹介したいがこれはまた検索すればでてくるし、別の本でも紹介していると思うのでここでは割愛する。
【総評】
Google、トヨタの仕事術は共通しているところもありつつ別々の方法で高い成果を上げているということが分かる。
この本の中でも面白い事例が紹介されていた。
ある有名な部品メーカーのトップが工場見学に訪れました。話題のトヨタはどれほど優秀なのか。その生産現場を自分の目で確かめた彼はこう言い放ちます。
「トヨタから学ぶことは何もない。」(P.106から引用)
ところがその部品メーカーは2年後業績が悪化しトヨタの傘下に入り、元社長はトヨタの工場長として勤務することになります。
ここで初めてトヨタは業績を上げている一方で自分たちは業績が悪化してしまったのかをしることになります。
なぜだったのか。。。。
気になる方はこちらを購入してお確かめください。
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