PMP用語についてかみ砕いて理解するための記事です。
1. ストーリーマッピングセッションの概要と背景
ストーリーマッピングセッションとは、プロダクトの開発におけるユーザー体験を視覚化し、全体の流れを整理するための手法。プロジェクトやプロダクトのロードマップを明確にし、ユーザーにとってどの機能が重要であるかを判断するために用いる。PMPにおいては、特にアジャイル環境で有効なツールであり、プロダクトバックログの優先順位を決定するプロセスで活用される。
実務では、チーム全体での合意形成や、要件の優先順位付けを行う際に利用することが多い。顧客価値を最大化するための重要なワークショップとして、プロダクトオーナーやステークホルダーを交えて行うことが一般的。
2. ストーリーマッピングセッションとは?
ストーリーマッピングセッションは、ユーザーストーリーを時系列的に並べることで、プロダクトの全体像を把握することを目的とする。最初にユーザーの行動を描き、そこに沿ってユーザーストーリーを配置していく。その際、横軸には時間やプロセスの流れ、縦軸には機能の重要度や優先順位を示す。
このセッションは、プロジェクトの進行中にチームがプロダクトの価値を見失わないようにし、ステークホルダー間の共通理解を促進する役割を果たす。アジャイル環境における要求事項の整理(スコープ管理)や、スプリント計画において重要なツールであり、特にプロジェクトの開始段階でのロードマップ作成に役立つ。
PMBOKの知識エリアでは、主にスコープマネジメントやステークホルダーエンゲージメントのプロセスに関連し、要求事項の収集や優先順位付けの場面で利用されることが多い。
3. 実務での適用例
例えば、あるeコマースサイトの開発プロジェクトでストーリーマッピングセッションを実施したとする。まず、ユーザーがサイトにアクセスし、商品を検索し、購入するまでの流れを時系列に沿って視覚化する。そして、その過程で必要な機能(検索機能、レビュー表示、カートへの追加など)を並べ、優先順位をつけることで、どの機能がMVP(Minimum Viable Product)に含まれるべきかを決定した。
この結果、チーム全体で共通の理解が得られ、顧客のニーズに最も応える機能から優先的に開発を進めることができた。これにより、初期リリースの成功に繋がり、ユーザーのフィードバックを反映した改良がスムーズに行えた。
※(筆者の体験ではなく、例です。)
4. アンチパターン – ストーリーマッピングセッションを使わなかった場合の問題点
ストーリーマッピングセッションを行わなかった場合、チームはプロダクトの全体像を把握することが難しくなる。例えば、開発プロジェクトで各チームメンバーがバラバラに機能開発を進めた結果、ユーザーの体験に不整合が生じ、製品の一貫性が欠けてしまった。
また、どの機能が最も重要であるかの合意形成が不足し、後になって「この機能は不要だった」「もっと優先すべき機能があった」といった認識の違いが顕在化することが多い。この結果、手戻りが発生し、プロジェクトの遅延やコスト超過の原因となる。
※(筆者の体験ではなく、例です。)
5. 学びと今後の展望
ストーリーマッピングセッションを行うことで、ユーザーの視点に立った機能の優先順位付けが可能となり、プロジェクトの方向性を見失うリスクを低減できる。他のPMPプロセスやツールと組み合わせることで、さらに効果的なプロジェクト管理が可能になる。例えば、リスク管理プロセスと組み合わせて、ユーザーストーリーごとに潜在的なリスクを洗い出し、対応策を講じることが考えられる。
次に学ぶべきは、ストーリーマッピングで洗い出した要件を基にしたスプリント計画や、リリース計画の具体的な立て方。この知識を深めることで、より実践的なプロジェクトマネジメントが可能になる。
6. まとめ
ストーリーマッピングセッションは、ユーザー視点でプロダクトの全体像を把握し、機能の優先順位を明確にするための有効な手法。特にアジャイルプロジェクトにおいて、チーム全体の合意形成と効果的な開発の方向付けに寄与する。
7. PMP試験で出そうな問題例
- ストーリーマッピングセッションの目的は何か?
- ストーリーマッピングで最も重要な要素を選び、それぞれの役割を説明する問題。
- ストーリーマッピングが活用されるプロセスグループはどれか?
試験では、ストーリーマッピングの手順やその効果に関する理解を問う問題が出題される可能性が高い。例えば、「プロダクトの機能を整理し、優先順位を決定するために利用される手法はどれか?」といった問題に対して、ストーリーマッピングセッションが正解となる。注意すべきポイントとしては、セッションの目的と効果を明確に理解しておくことが重要である。