はじめに
最近、3Dモデル生成系の技術を触る機会が増え、 「せっかくだしローカル環境でごりごり試したい」と思うようになりました。
対象は triposr。 クラウドではなく、自分のマシンで自由に検証できる環境を作るのが目的です。
結果から言うと、 グラフィックボード選びで盛大に失敗しました。
この記事では、その判断に至った経緯と、 実際に何が起きたのか、振り返りも含めて正直に書いています。
なぜローカルで3Dモデルを作りたかったのか
理由は単純です。
- 制限を気にせず試行錯誤したい
- 生成条件を細かく変えて検証したい
- 処理内容を理解しながら触りたい
triposrは比較的軽量そうに見え、 「手元のGPUでも十分いけるのでは?」と感じました。
Python + PyTorch + GPU。 よくある構成ですし、 この時点では大きな落とし穴があるとは思っていませんでした。
なぜAMDのグラボを選んだのか
ここが今回の判断ミスの核心部分です。
AMDを選んだ理由は、単なる思いつきや逆張りではありませんでした。 当時の自分なりには、それなりに考えた上での選択です。
メモリ容量と価格のバランス
まず一番大きかったのは、VRAM容量と価格のバランスです。
同価格帯で比較すると、
- NVIDIAはVRAMがやや控えめ
- AMDはVRAMを多く積めるモデルが多い
という印象がありました。
3Dモデル生成やAI系の処理では、 VRAM容量がボトルネックになる場面が多いと言われています。
「同じ予算なら、VRAMが多い方が将来的に有利ではないか」 そう考えたのは、自然な判断だったと思います。
Claude AIと相談していたという事実
グラボ選定にあたっては、 実は Claude AI にも相談していました。
用途や予算感を伝えた上で話を進めると、
- AMDでも条件次第では可能
- ROCmという選択肢がある
といった情報が返ってきます。
今振り返ると、 「理論上可能」と「現実的に楽に使える」は別物でしたが、 当時はそこまでの解像度を持てていませんでした。
将来的なビジネス展開を見据えて
もう一つ大きかったのが、 将来的なビジネス利用を意識していた 点です。
3Dモデル生成を
- 外部のSaaS
- API課金
に全面的に依存した場合、
- 生成回数に応じてコストが膨らむ
- 試行錯誤しづらい
という問題が見えていました。
「いずれ仕事として使う可能性があるなら、 ローカルで完結できる環境を持っておきたい」
そう考えると、
- 初期投資はかかっても
- ランニングコストを抑えられる
ローカルGPU環境は、 合理的な選択肢に見えたのです。
現実:想像以上に高かったハードル
実際に環境構築を始めて、すぐに違和感を覚えます。
ROCmは誰でも使えるわけではない
まず前提として、ROCmは すべてのAMD GPUに対応しているわけではありません。
世代・型番・OSの組み合わせによって、 対応状況がかなりシビアです。
購入したGPUは、 「理論上は動くが、公式に強く推奨されているわけではない」 という、微妙な立ち位置でした。
OS依存が強すぎる問題
ROCmは基本的にLinux前提です。
Windows環境で完結させる選択肢はほぼなく、
- デュアルブート
- 別マシン
- 仮想環境(GPU周りはさらに難易度が高い)
と、構成のハードルが一気に跳ね上がります。
「ちょっと試したい」レベルでは済まなくなりました。
PyTorch × ROCm × triposr の壁
PyTorch自体はROCm対応版があります。 しかし、実際に触ってみると、
- バージョン依存が強い
- サンプル通りに動かないことがある
- CUDA前提の実装が前提になっている箇所がある
といった問題が次々に出てきます。
エラーは出るものの、
- 情報が少ない
- CUDA向けの解説ばかり出てくる
- 同じ状況の事例が見つかりにくい
という状態で、調査コストが一気に跳ね上がりました。
結局どうなったか
最終的な状況はこうです。
- CPU実行:動くが遅すぎて実用外
- GPU実行:理論上可能だが安定しない
「動かすこと自体は不可能ではないが、 検証や遊びで使うにはコストが高すぎる」
これが率直な感想です。
今回の失敗から学んだこと
一番の学びは、非常にシンプルでした。
- AI・生成系は、まだまだNVIDIA前提の世界
- 「そのうち対応する」は、今すぐ使えるとは限らない
- ハード代より、時間コストの方が圧倒的に高い
AMDのGPU自体が悪いわけではありません。 ゲーム用途や一般的な作業では、十分満足しています。
ただし、 「今すぐローカルで3D生成を触りたい」 という目的においては、 グラボ選びを間違えたと言わざるを得ませんでした。
これから同じことを考えている人へ
もし、
- triposrをローカルで動かしたい
- 3D生成・AI系を試したい
という目的があるなら、個人的なおすすめは次の通りです。
- 迷ったら素直に NVIDIA + CUDA
- ローカルが厳しければクラウドを使う
- 「AMDで動いた」という記事は環境差を疑う
安く済ませようとして、 結果的に一番高くついた典型例でした。
おわりに
この体験談が、 これからローカルで3Dモデル生成を始めようとしている方の 判断材料になれば幸いです。
同じ失敗をする人が一人でも減れば、 この経験も少しは報われる気がします。