検証背景
ペットの写真から3Dモデルを作成し、3Dプリンターで印刷できるようにすればビジネスになるのでは?という仮説のもと、OSSや有料サービスを用いて検証を行った。
使用技術とサービス
- TripoSR (OSS, MITライセンス)
- 自前サーバー構築可能。
- 出力形式: OBJ (色なし), GLB (色付き)。
- Blender
- GLB形式をdmm.make対応形式へ変換。
- DMM.make
- 対応ファイル: STL, 3MF, OBJ, 3DS, STEP, IGES, PLY, VRML。
- 「フルカラーマルチマテリアル|MJT|J850」を選択。
- TripoStudio (有料WEB)
- 無料枠あり。
- Meshy.ai (有料WEB)
- 無料枠あり。
無料で3Dモデルを作成できるOSS「TripoSR」はMITライセンスで公開されており、自分のサーバーに構築して商用利用も可能。まずはローカル環境で実行してみた。
左: 元画像 / 中央: 背景除去後 / 右: 3Dモデル

おお、かわいい!

と思ったものの、角度を変えるとしゃくれてしまっていた。

他の画像でも同様の結果だったため、ChatGPTに背景除去を依頼し加工したところ以下のような画像に。

実写風だが、我が家のワンちゃんとは少し顔が違っています

いい感じかも…

でも少ししゃくれ気味。ただし控えめになってきた印象。


造形にはまだ納得いきませんが、とりあえずこのまま3Dフィギア化に進めます。
TripoSRからダウンロードできる形式はOBJとGLB。OBJは色が付かないため、今回は色付きのGLBを使ってDMM.makeへアップロードを試みた。そこで「フルカラーマルチマテリアル|MJT|J850」を選択。
しかし問題発生。「対応ファイル: STL、3MF、OBJ、3DS、STEP、IGES、PLY、VRML・WRML形式。データ容量:1ファイル100MBまで」との仕様により、色付きGLBはそのまま使えない。対応形式への変換が必要となった。(OBJは色なしのため今回は使用しない)
色付きのGLBから対応している別の形式に変換する必要があります。今回はblendarというソフトを使用します。
GLBファイルをblendarにインポートし、対応している形式にエクスポートしていきます。

この中でdmm.makeに対応しているのは色なしのobjを除くと、ply, stlの2種類のみ。
結論からいうと、原因は不明ですがply, stlともに造形できませんでした。
ちなみに初期の状態のままでdmm.makeにアップロードしたところ造形できないとのことだったので、dmm.makeのサポートに問い合わせたところ、「1mm程度のサイズしかなく、造形できない」との回答。
サイズを調整し、その他も色々試したのですがおそらく不要なオブジェクトが大量に生成されていることが原因だと思いますが、3Dプリントは困難と判断。


※別のさらにデフォルメしたモデルを使用中
無料のものだとこんなものか、、、と有料サイトの無料枠で試してみました。
有料サービス比較
この画像をそれぞれ3Dモデル化してみます。

【TripoStudio】

横顔があまりかわいくないかな、、、

実物と比較しても3Dモデルは顔がぼこぼこしすぎている感じ。

【messy.ai】
続いてMeshy.aiというサイト。造形は先ほどよりリアル感がある。

顔がちょっと怖い、、、

続いて中程度にデフォルメしたこちらの画像を比較してみます。

【TripoStudio】
実写版よりは少しマイルドになっているイメージ。目の透明感には驚き。


かわいい、、、とは思うが元画像からして胴体が小さすぎたかも?
【messy.ai】


結構かわいいのでは?これはありかもしれない。
続いて最後に完全なデフォルメ

【TripoStudio】


かなりかわいく3D化できていますね。3D化するにはデフォルメした方が楽なもよう。
【messy.ai】


かなりかわいい感じ。自分の飼っている犬だと思わなければかなりありかも。
これなら製品化もありですね。
Meshy.aiはモデルのダウンロードには有料のサブスク契約をしなければなりません。TripoStudioは作成した3DモデルをDL可能。
今回作成できた3Dモデルをプリント可能なまでに何とか加工していきたいと思います。
TripoStudio, Meshy.aiはそれぞれ無料のTripoSRよりは明らかに品質が高いですね。
デフォルメするとかわいくなり、3Dプリンターで扱いやすくなります。
[かなりデフォルメしたものを無料のTripoSRで造形]
デフォルメしておけば無料でもそこそこうまくできる。

メタバース空間でのビジネスチャンスの検討
さて次に3Dモデル化できているのであれば、最近飛ぶように売れているというメタバースでの小物としても販売できないだろうか?と考えました。
メタバース市場は2024〜2025年時点で約4兆円弱、2030年には15兆円規模に成長すると予測されています。ペットの3Dモデルをアバターや小物として販売できれば、大きなチャンスになるはず。
しかしUnityでの取り込みを試みたところ、色付きでのインポートができず課題が残りました。
2025/9/23 追記 gltFastというライブラリを正しくインストールすることで色付きでインポートできるようになった。

結論として、現状のTripoSRや有料サービスだけではペットを高品質に3D化するのは難しいと判明。既存サービス「PetFig」では写真を送るとペット3Dフィギュアを作成してくれるサービスが5万円程度で販売されているが、これはCADでの人手による修正が必要なため高価格となっていると予想。
TripoSR出力を全自動で補正し、3DプリンターやUnityにそのまま取り込めるパイプラインを実現できれば、大きなビジネスチャンスとなることがわかりました。
【今後の課題】
本検証には約2週間を要しましたが、こうしてレポートにまとめると、まだ不足している検証点と課題が見えてきました。
- dmm.makeで3Dプリントできなかった原因の深掘りと特定
- Unityに3Dモデルを取り込む際に色が破棄される理由の解明と、その回避方法の検討→2025/09/23ライブラリの正しいインストールで回避。あとは出品までの流れを確認。
これらを追究することで、今回の2週間の検証をさらに価値あるものにできるはずです。